小児医療連載コラム “いざというときにあせらない”こどもの病気とケア
今週から3回に渡り、乳幼児健診で僕が力を入れているところを説明していきます。
今日は停留精巣と陰唇癒合の話です。
【停留精巣】
男の子がお母さんのおなかの中にいるとき、男の子の精巣も男の子のおなかの中にあります。
女の子と卵巣と一緒ですね。
それが生まれる少し前に鼠径管という通り道を通って陰嚢に降りてきて、陰嚢の中で靱帯で固定されて正常精巣となります。
それが何らかの理由で陰嚢に下降することが障害されたとき、停留精巣となります。
通常の停留精巣は、精巣をひっぱっても陰嚢まで下降してこない、あるいは下降してもすぐに挙上してしまいます。
そのため、1歳になったら精巣を陰嚢に固定する手術が必要です。
停留精巣の中でも程度が軽いものを移動性精巣といいます。
移動性精巣とは、精巣をひっぱれば陰嚢に下降してくるものの、精巣が靱帯で陰嚢に固定されていないため、しばらくすると挙上してしまいます。
移動性精巣は、小学校に入学する前まで半年に1回程度外来で診察し、手術が必要かどうか判断します。
背が伸びることで、ひっぱっても下降しにくくなったり、精巣の萎縮傾向が出てきた場合には手術が必要となります。
停留精巣は乳幼児健診でチェックすべき項目ですが、何らかの理由で健診では指摘されず、2歳以上になってから親御さんが気になって君津中央病院小児外科を受診し、その結果手術になったお子さんを僕はこれまでに何人もみてきました。
乳幼児健診で医師が精巣を触診していない場合は、当院までご相談ください。
【陰唇癒合】
女の子が生まれたときに陰唇が癒合している人はほとんどいませんが、何らかの理由で生後3ヵ月頃まで小陰唇が癒着して、尿道口や膣が全く見えない状態になってしまうことがあります。
これを陰唇癒合といいます。
陰唇癒合は陰部を開いてみればわかるのですが、おむつ替えの時に陰部を開いてみたことがある親御さんは少なく、自宅で気がついたという方は今までに一人もいません。
乳幼児期に気がつけば外来で癒着剥離(ピンセットで癒着した陰唇を開く)をすれば治癒しますが、気づかずに成長してしまうと、全身麻酔で切開をする必要が出てくることがあります。
当院では健診のときにしっかりとチェックしますが、他の医師が健診でチェックしてくれることは稀だと思います。
自宅で見てみればわかりますので、今まで健診で陰部を開いて診てもらったことがないお子さんは、大丈夫かどうか確認しましょう。
医療法人社団育心会
やまだこどもクリニック
院長 山田慎一
https://www.yamadakodomo-clinic.com/
※2020年7月17日掲載
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