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小児医療連載コラム “いざというときにあせらない”こどもの病気とケア

第25回  子宮頸がんワクチンについて


子宮頸がんワクチンについて

 

 

今の日本で、小学6年生から高校1年生までの女の子は子宮頸がんワクチン(ヒトパピローマウイルスワクチン)が無料で接種できるのをご存じでしょうか?
 


子宮頸がんワクチンは2013年に公費で接種開始となりましたが、ほどなく接種をした女の子が倒れたという報道が相次ぎ、現在国は「積極的勧奨を控える」という立場を取っています。

 

要は「無料で接種できるけどお勧めしないよ」ということです。

 

「接種したあとに女の子が倒れた」というのは事実ですが、その因果関係に関して言及した報道はありませんでした。

 

しかし、「接種したあとに女の子が倒れた」とテレビで言われたら一般の人は「あら、なんか危ないワクチンなのかな」という印象を持ってしまい、現在は接種率が1%を切ってしまいました。お医者さんは本当に女の子が倒れた原因がワクチンのせいなのかな?とずっと疑問に思っていましたが、証拠がなかったので何も言えない状況が続きました。

 

しかし、2016年に厚生労働省研究班(祖父江班)の全国疫学調査が行われ、子宮頸がんワクチンを接種した女の子と比較して、接種歴のない女の子でも子宮頸がんワクチンの副反応といわれている症状が同じ割合で出現しているということが判明しました。

 

2018年に発表された名古屋スタディーでも同様の結果が示されました。

 

これはどういうことかというと、ワクチンの副反応といわれている様々な症状は、実は思春期の女の子に稀に出現する原因不明の症状であり、常識的には子宮頸がんワクチンと無関係ということなのです。

 

もちろん、すべての予防接種には副反応の可能性があります。子宮頸がんワクチンだってなんらかの副反応がでるかもしれません。

 

しかし、他のワクチンをお子さんに接種するのに何の不安も持たないのであれば、子宮頸がんワクチンを必要以上に怖がることはないのです。

20代、30代の若い女性が子宮頸がんにかかるときは、ほぼ100%ヒトパピローマウイルスが原因です。

 

言い換えれば、子宮頸がんワクチンを接種すれば、ほぼ100%予防できるのです。

 

ヒトパピローマウイルスは性交渉でもらってしまうウイルスであり、接種をするなら早いほうがいいに決まっています。

 

子宮頸がんワクチンは半年かけて3回する必要があり、高校1年生の女の子は、今すぐ接種をすればまだ間に合います。

 

接種を希望される場合は、母子手帳を持って市役所に行ってください。

その際、「2価と4価のワクチンがありますが、どちらにしますか?」と聞かれますので、「4価」と答えてください。予診票を3枚もらったらクリニックに電話をいただければ仕入れておきます。

 

当院では昨年4月から2種混合ワクチンを接種しに来院した女の子の親御さんに子宮頸がんワクチンのお話をさせていただき、これまでに18人に接種しましたが、今のところ副反応を訴えたお子さんはいません。
 
子宮頸がんは毎年約1万人が罹患し、約3000人が亡くなっています。

 

ヒトパピローマウイルスで発症するがんは他にも中咽頭がん、肛門がん、膣がん、外陰がんなどあり、子宮頸がんワクチンはそれらの予防にも効果があります。

 

 

お子さんの未来を守るため、どうか前向きにご検討くださいますよう、よろしくお願いします。

 

 

医療法人社団育心会
やまだこどもクリニック 
院長 山田慎一

https://www.yamadakodomo-clinic.com/

 

※2020年9月25日掲載

※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。

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