小児医療連載コラム “いざというときにあせらない”こどもの病気とケア
第5回 「最新予防接種情報2020 ~予防接種は受けた方がいいの?~」
予防接種の一番の利点は、かかったら具合が悪くなる可能性がある感染症(麻疹、風疹、水ぼうそうなど)の自然感染や、自然感染した場合に発症する可能性がある重篤な合併症(麻疹の亜急性硬化性全脳炎、妊婦が風疹に罹った場合の先天性風疹症候群など)から身を守ることです。
(これを個人免疫といいます。)
もちろん予防接種をしてもその病気にかかることもありますが、たとえ感染したとしても予防接種をしていれば軽く済みます。
また、予防接種をすることで、予防接種をした本人だけではなく、家庭内や地域社会に流行することを食い止める役割もあります。
(これを集団免疫といいます。)
現在の日本にはない病気(ポリオなど)も予防接種をしなければいけないのは、集団免疫を保つためです。
ただ、全ての予防接種には副作用(正しくは副反応)の可能性があり、現在の法律では予防接種をするかしないかは保護者の判断にゆだねられています。
すなわち、全ての予防接種の効果とどんな副作用が出る可能性があるのかをよく理解したうえで、お子さんに予防接種を受けされる必要があります。
100%安全な予防接種というものはありませんが、それぞれの長所、短所を考えても接種しないほうがよい予防接種というものはありません。
いろいろと副作用の報道があって現在は国が積極的勧奨を控えている子宮頸がんワクチン(HPV)も、2018年に安全性に問題がないことが科学的に証明されており、接種した方がよい予防接種であるといえます。
予防接種の効果はおよそ20年です。
麻疹、風疹、水ぼうそうは妊娠中にかかると胎児に影響がでる可能性があるので、いずれも子どもの頃にかからなかった場合は結婚前にもう一度接種し直した方がよいとお子さんに伝えてください。
女性だけではなく、パートナーにうつさないためにも男性もしっかりと接種し直しましょう。
自分のお子さんのため、他人のため、社会のために予防接種を受けてください。
よろしくお願いします。
医療法人社団育心会
やまだこどもクリニック
院長 山田慎一
https://www.yamadakodomo-clinic.com/
※2020年5月1日掲載
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。