小児医療連載コラム “いざというときにあせらない”こどもの病気とケア
第9回 「 “溶連菌” ってなぁに?」
「溶連菌」という名前は聞いたことがある人が多いかと思います。
正しくは「A群溶血性連鎖球菌」といいます。
幼稚園や保育園で時々流行していますよね。
本来は秋から冬に流行する感染症ですが、最近は季節に関係なく、1年中出ている印象があります。
典型的な症状は発熱と咽頭痛ですが、他にも手足や顔に発疹がでたり、舌の表面がぶつぶつと赤く隆起(いちご舌)したり、首のリンパ節が腫れたりします。
のどの所見のみで溶連菌と診断がつくこともありますが、一般的にはのどを綿棒でこすって検査をします。
感染力はそれほど強くなく、兄弟でもうつらないことがよくあります。
潜伏期間(もらってから発症するまでの期間)は2-5日で、治療はペニシリン系の抗生物質を7-10日間内服します。
抗生物質は症状が消えて元気になっても飲みきることが重要で、途中でやめると再発したり、リウマチ熱になったりすることがあります。
抗生物質を内服すると24時間以内に人にうつさなくなるので、症状が改善すれば登園、登校は可能です。
溶連菌の診断がついた場合、他院では1-3週間後に尿検査を行っていることが多いかと思います。
溶連菌感染後に急性糸球体腎炎を発症する場合があるため腎炎の有無を確認しているのですが、最近の論文では急性糸球体腎炎になるとほとんど肉眼的血尿(真っ赤なおしっこ)と顔のむくみがでるため、小児では親御さんが気づかないということはありえないので、症状がでてから尿検査をすれば問題ないとしています。
その論文が出てから、当院では溶連菌感染後の尿検査は行っていません。
溶連菌はいつ検査しても出てしまう「保菌者」がいます。
これまで溶連菌の検査をして出なかったことが一度もないお子さんは、保菌者かもしれませんのでお子さんの体調がよいときに一度ご相談ください。
医療法人社団育心会
やまだこどもクリニック
院長 山田慎一
https://www.yamadakodomo-clinic.com/
※2020年5月29日掲載
※取材時点の情報です。掲載している情報が変更になっている場合がありますので、詳しくは電話等で事前にご確認ください。